うつしき

うつしき

雪解けのあと

今年はここ九州・福岡でもたくさんの雪が降り積もる冬でした。

予期せぬ大雪に、仕事や予定が狂ったり、災害の不安が生まれたりと

ざわざわした方も少なくないだろうなと思いつつ

私個人としては、しっかり寒波が降りてきて海水温がぐっと下がってくれたことが

小躍りするほど嬉しいことでした!

(ここ数年、海の世界では

冬に海水温が下がらなくなったことによる様々な変化・影響が顕著になっていました。)

 

ふと思い返せば、たった20年くらい前

私がこどもだったころは

福岡といえど冬はとても寒いもので、雪が積もる日があったものでした。

 

小学校何年生だったか

国語の授業で習った「雪解けとふきのとう」を書いた物語が忘れられない。

忘れられないと言いつつ、タイトルも、正確な文章ももう思い出せないのだけれど

なぜか、物語の景色とその空気は見事に頭の中で度々再生されるのです。

 

つもった雪をゆっくり押し上げて、寒さの割れ目から芽吹く姿を読んだあの日、

山育ちでない「ふきのとうを見たことも食べたこともない私」は、

春の素晴らしさとそこに向かうまでの困難を、美しいものとして知ったのでした。

 

雪解けと同時に膨らむ蕾たちに刻まれた時間感覚と装置には、

大人になった今でも心震えるものがあります。

 

春夏秋冬が年々失われ、オンとオフの激しい気候が当たり前になってきた日本の島。

 

わたしたちの祖先が感じた美しい季節の移ろいや

そこから生まれた感性、文化への尊さが増すばかりです。

 

海も、野も山も

しかるべき季節を迎え、重ねて、生命力あふれる日々を送っていくことができる

そんな美しい星に生まれたことを心から嬉しく思います。

 

春はもうすぐそこ。たのしみです!

 

のせ るみ