うつしき

うつしき

それぞれの視点

遠く遠く離れたところから見ると

色だけがぼんやり浮かぶ。

もう少し近づくと、近づいた分だけ形が現れる。

もっともっと近づいてその植物の中にまで入りこんだら

どんな世界が拡がっているだろう。

私がはいいろオオカミ+花屋西別府商店の作品を実際に目にしたのはうつしきが初めてでした。

どこかで聴いてずっとずっと頭に残っていた名前。

いつか見てみたいと思っていた世界。

私はこの作品の中の植物の名前を知っていて、全貌も知っている。

花屋に勤めていた頃は、この子たちをたくさんの植物と一緒に束ねていた。

一輪、あるいは一本と捉えて。

それなのにこんな見方はまるでしたことがなかった。

ひとつひとつの植物からパーツを傷つけないように

そっと触れて掬いだしてつくられている。

途方もなく繊細な仕事。

細部にじっくり焦点をあてるとなんておもしろい恰好をしているんだろう。

組み立てられた姿は、なんて想像をかきたてるんだろう。

彼の作品をお客さんにお話しする時の私は、

ちょっと気持ちが高揚しているかもしれません。

植物と仕事の中で付き合っていたからこそ培った概念は、

西別府さんの作品によって簡単に崩れました。

当たり前のように頭の中で決めつけていたことは、

気持ちのいいほど軽快に音を立ててすっきりと。

そうして新たな視点を知りました。

今日は立春。

春がはじまる。

まだまだ冷たい空気に覆われて土の中に眠っている植物たちも

これからむくむくと起きあがっていきます。

うつしきの庭は賑やかになりそうです。

2/9からはじまる はいいろオオカミ+花屋西別府商店 展

西別府さんの使われている植物がうつしきの庭にも潜んでいるかもしれません。

日頃植物を身近に感じている方もそうでない方も

どんな世界に出逢えるか、ぜひご自身の身体で受け取ってください。

喫茶室、ライブの受付もまだ行なっていますのでそちらもぜひ

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小西 紗生