うつしき

うつしき

而今に潜る

よあけ。
まだ薄暗い夜を押し上げて朝が顔を出すころ。
いろんな種類の鳥たちがそれぞれの鳴き方でうたい、声が重なり大合唱。
それはもう賑やかでここ最近はそんな音で目が覚めます。
我が家の窓の外は一面田んぼが広がり、春になり俄然いきものたちの営みが活発に。
はたらきもののおじちゃんがせっせと農作業をすすめ、毎日景色が変わります。
今は田水が張られたところで、夜はかえるたちが元気に鳴いています。

先日農家の友人の元へお手伝いに行ってきました。
ちょうどうつしきではかおりさん企画の後藤健太郎さん後藤優さんによる学びの場開催日。
魅力的な内容に気持ちはそちらに向かいつつも佐賀県唐津の畑へ出発。
後日うつしきHP゛樂学゛に綴りを寄せて下さるので私自身余韻を受け取れるのを愉しみにしています。
7月にもまたお二人の学びの場を開いてくださる予定です。
次回の縁に心を寄せて、今回断念された方も愉しみにお待ちくださいね。

さて、久しぶりの畑仕事は小さな種から育て、根が巻いた頃合いの唐辛子苗の定植。
代々在来種の種を引き継ぎ大切に育てている苗。
昔ながらの彼女の家に伝わる育て方で、
どんなに栽培の量が増えてもすべて手作業で丁寧におこなっている。
気を抜くとあっという間に水落ちしてしまう繊細な苗を大事に大事に植え付けていく。
淡々とした作業ですが、二日間はじめから終わりまで
不思議と同じ気持ちで苗と接していることに気づきました。
私にとっては数百数千の連なりでも、一つの種の一生はその一度きり。
次にバトンを渡せるのは困難を乗り越えて健やかに成長してこそなのか
と身体のどこかで感じていたのでしょう。
土に触れている間、没頭して今ある目の前のことにすべてが向かう心地よさ。
いつもと違う部分を動かして全身が筋肉痛になるのも嬉しい。
普段傍においている携帯電話はぽいっと放って、
みどりが青々と広がる美しい景色を写真に残せていなくて残念と思いつつも、
持っている五感で感じ忘れたくない時間を身体に沁み込ませました。

最近植物に触れる時間が増え、
一瞬一瞬が成長で様子が変わることや、
周りの環境に応じて起こる変化に気を留めることが多くなりました。
当然のことながら゛今゛は流動的で次の瞬間にはまた新たな゛今゛がやってくる。
そんなことを想うと過去や未来にばかり目を向けていたのがもったいなく感じ、
目の前の゛今゛を存分に味わいたくなりました。

来る6月10日は太田美帆さんによるユニット  春雨  の演奏会。
公私共にパートナーである森俊二さんとスタートされた新たな活動。
美帆さんは2018年の6月にうつしきで初めてのソロ演奏会をひらいてもらってから、
様々な形でうつしきで表現をひろげてくれています。
細胞が日々営みを続け生きているからこそ変化する。
その変化の度にわくわく惹きこまれる美帆さんの生み出す世界。
この時しか味わえない時間を皆さんご一緒しましょう〇

春雨(森俊二×太田美帆)演奏会
美帆さんのパートナーである森さんは
90年代より「NATURAL CALAMITY 」という名義で活動していて、
“静かでメランコリック”なその音楽性は『ドリーミー・サウンド』と称され
世界中の音楽ファンから絶大な人気を博しているそうです

≪日時≫6/10(土)18:00 開場 18:30 開演⁡
≪料金≫前売 4000円 当日 4500円
⁡≪ご予約≫営業中のお電話かメールで受付ます。
メールの場合は、件名に参加ご希望のイベント名お名前.
お電話番号上記をinfo@utusiki.comまでお知らせください

 

それでは今日も、今日だけの景色をめいっぱい堪能できますように。

 

小西 紗生