うつしき

うつしき

秋の植物

暑かった夏が嘘のように、夜になると温かなお布団が手放せなくなるくらいすっかり涼しくなりました。
初夏に種を蒔いた綿花の実がはじけ、ふっくらとした白い肌をみせています。
毎日同じように1日がはじまる中、そんな変化で季節の移ろいに気が付くことが出来ます。
綿といえばふかふかとして手を埋めると柔らかいイメージがありますが
今回植えたものは日本在来種の和綿。
繊維がしっかりしていて、普段生活の中で馴染みがあるアメリカの綿より
少しぱさっと感じるかもしれません。
その分艶やかで弾力があって布団綿としてよく使われます。
空気をたっぷり含ませて糸に紡ぐとふくよかな風合いになります。
私のライフワークでもある糸紡ぎ。
今は譲っていただいた綿で糸を紡いでいるので、自ら育てたもので紡ぐことが目標です。

同じ時期、山道を歩くと目につく臭木という植物。
甘い独特の香りがありこちらもはじけるように実がなります。
この植物は染色に使うと、見た目からは想像も出来ないような鮮やかな浅葱色に染まります。
豊かでおいしい食べ物が多い秋は、同時に多様な用途に活躍する植物の収穫の時期でもあります。
そんな発見がおもしろく大好きな季節です。

うつしきにはこれからの時期をあたたかく迎えられる衣が沢山入荷しています。
作り手の方々が選ばれた素材や染に
どんな植物が使われているかを見つけるのも密かな楽しみです。
ぜひ身に纏ってみてください。
街中からは離れた少し辺鄙な場所ですが、
道中の賑やかな自然も堪能しながらうつしきを目指してくださいね。

小西 紗生