うつしき

うつしき

届ける

先日古い手紙が見つかった。

 

80年以上前に投函されたもの。

 

絵描きを目指してアメリカへ移住した曾祖父より、お寺を継為に日本へ送った祖父を案じ、幸せの願いを込めた手紙。

 

海を渡りたくさんの年月を経たにも拘わらず、美しく朽ちていて、時間の蓄積でしか成り得ない存在となっていた。

うつしきオンラインは1年半ほど前にスタートしました。

 

縁ある作り手から生み出されたものを、撮影の小田君と、web担当の義明くんと相談しながらオンライン上に構成してもらい、
最終的に選んで下さるみなさんの元へ “届ける” を担当しています。

 

文字にすると簡単ですが、それぞれの人が積み上げてきた経験の結集に携わっているといつも思います。

 

それは選び手の方も勿論のこと。

 

なんらかの入口からうつしきと出逢ってくれて、顔の見えない中指先で一票投じてくれること。

 

途方もなく奇跡的なことだと思う。

 

だからこそ大切に届けたい。

 

オンラインがはじまった当初より手紙に植物を添えるを密かに続けています。

 

古典の一節より心に留めた、平安時代の風習で言葉以上のものを植物に託す。

 

足を運べなくともここの景色を少しでも届けられたらと思います。

 

6/10 リリースの太田美帆さんの「嬉々」は うつしきの永久欠番 田代沙織さん (kiki product) へのオマージュがそこかしこに存在します。

 

山香デザイン室 小野友寛さんによるデザインのパッケージにも。

 

2年前の6月に沙織さん主催で開催された美帆さんの゛声のワークショップ゛

 

その時の演奏会で生まれたアルバム「共鳴

 

彼女とその時の時間を込めた植物を「嬉々」に添えて届けています。

 

美帆さんへの祈りも込めて。

 

kiki product のハーブティーを手にしたことのある方はピンときてくれるかな。

 

こちらのblogを遡っていただくと沙織さんの人柄そのものの文章と出逢えます〇

「嬉々」ご注文の皆様、本当にたくさんの方に選んで頂き有難うございます!
オンラインは店頭でのご対応と共に行っております。メール、発送等お時間いただきますが愉しみにお待ちくださいね。

 

今週末より1年半ぶりの督田昌巳さんの展示がはじまります。

 

前回の展で選ばれた木の器はそれぞれの元で暮らしを蓄積し深い味わいが出てきた頃でしょうか。

 

意図して古く見せる ではなく、日々の積み重なりでしか現れることのない跡を纏ったものにどうしても惹かれます。

 

自らの手でそんな変化を起こしてくださいね。

 
小西 紗生