暮らしの中にアルミニウムという素材を意識した事があるでしょうか?
アルミホイルやアルミ缶、人によっては電子機器や車などの部品を想像する人もいるかもしれません。
そんなアルミニウムという素材を用い、これまでにない新しい表現を模索している永瀬二郎さん。
お皿から椅子、火起こし器まで、二郎さんの作品はアルミニウムに対しての印象が大きく変わります。
「ものづくりという言葉の意味合いも変わっている気がします。生産性が求められる工場では職人さんが全自動の工作機械を使っていて、ものづくりに技術やコツが必要なくなっていくほど、人間国宝というような言葉があるように身につけた技術自体に面白さを感じる。今なんでそれを手で作るんだ、みたいな面白さなんですかね」。
二郎さんは鍛金などの工芸的な技法と、プレス機やCAD、3Dプリンターといった工業的な技術を応用しながら、意図しない素材の揺らぎや動きから生まれた産物を作品として映し込んでいます。
手工芸とデジタル。いっけんかけ離れてるような組み合わせですが、二郎さんはフラットにものごとをみています。
「楽器や折りたたみ椅子のような構造物をつくるときは、CADで設計する事が多いのですが、最初はざっくり手で作り、それを図面に起こして、また形にして修正したものを図面に起こして、、という作業を繰り返すのですが、それを個人の規模で一つの作業場でスピーディーに行えることがとても大事だと思っています。
3Dプリンターとかレーザーカッターは精度も良く、寝ずに働く職人のような存在ですが、出力されたパーツはどこか愛着が湧きません、そこから修正したり、良い感じ、となるところまでは自分の手でやらないといけない部分です。そうやって作っていると手仕事の意義みたいなことが見えてくる気がします」。
7月24日(土)より開催している『永瀬 二郎 展』。
今展示場は空間まですべてを作り手である二郎さんによる演出。
試してはまたゼロにする、をひたすら繰り返す細やかな設営の過程。
できあがった空間はいつもと違う、「うつしき」の場となっています。
この場所にしかない景色をぜひ体感して頂きたいです。
今回の対話を終えてモノに対して事前に抱いていた印象が変わる時。それは実際に見て触れて、そのものを使った時に変るような気がしています。展示期間中、猫好きの二郎さんは何度も在廊してくれます。この機会に火起こし器の実演から、作品ができるまでの背景を、ゆっくりとお話を聞きながら作品を手にとってもらいたいです。きっと、アルミニウムの印象が変わるはず。[インタビュー記事 前編]
永瀬 二郎 展
日程
2021年7月24日(土) – 8月1日(日)
期間中休みなし
作家在廊日
24,25,26日 / 30,31,1 日
時間
13:00-18:00
Comptoir Coin お食事会
7/24(土)・25日(日)
12時開始
¥8,000
すべて永瀬二郎のアルミ作品で提供される8品のコース料理