六周年を迎えたうつしき特別企画展。
笑達×川井有紗 夫婦展 「たまきはる」
何度も来てくださった方、時間を忘れて終日滞在された方もいらっしゃいました。
心を寄せてくださったたくさんの方々のおかげで幸せな時を重ね、夜の宴を以て静かに幕を閉じました。
携わっていただいたすべての方にお礼申し上げます。
和歌山からの長旅後すぐに、台風で大雨の中の設営。
そんなお二人の苦労を癒してくれるかのような翌日の天気。
どこもかしこもすっかり洗われて、朝陽はあらゆるものにあたたかな輪郭をもたらすように光でそっと抱きかかえていました。
その様子が笑達さんの絵から感じる感覚ととても近しく思いました。
お二人が居を移した自然豊かな地をいろどり山と名付けられた。
そこでの景色は遮るものがなく空が広く太陽と昼間の白い月とが同時に見られるそう。
「世界」と題された笑達さんの大きな大きな絵に、有紗さんが植物で編んだ太陽と月が浮かびあがる。
実現することが難しい景色が現れ
今ここに居ない生命が絵の中に存在する。
この世界では普段起こり得ないことも自然と現れるような不思議な空気が漂っていました。
最終日はそんな中での 川井有紗 唄の会
その時々の感覚を大切に、様々な表現を生みだす有紗さん。
唄は始められたばかりで、記念すべき会を共に出来て感慨深い時間でした。
私は出逢えてから十年ほどの中で、両手で数えるくらいの回数しか会えていないのに、
彼女から受け取らせてもらった出来事を鮮明に覚えていることが多くあります。
それらが密かに力になってくれていることをいつも心強く感じています。
今回の唄の会もまた。
肌を伝って体に入ってきてくれるものたちをずっと忘れたくないと思いました。
うまれて 生きて 生きて 還る
べん図のようにそれぞれの持つ幾つもの円が交わる小さな点が、ここにひと時の景色を拡げ、今ここに在ることを実感させてくれる。
すべての会が終わった後に、会期中お食事会を開いてくれたmillet樹里さんの料理が待ってくれていた。
その場に樹里さんは居ないのに、みんなを抱きしめてくれるようにからだの中に入ってきてくれる。
休む間を惜しんで作り続けて下さりなんて逞しいんだろうと驚いていたら、お野菜の力!と輝く笑顔を向けてくれた。
樹里さんの記事は 楽学にて。
有紗さんの唄の会の様子は近日映像でご覧いただけます。
足を運ぶことが叶わなかった方も、ぜひ画面越しに触れていただきたい。
お二人の今を体中でひろげてくれた「たまきはる」展
毎日居られた私が実は一番堪能させてもらったかもしれません。
撤収後のからっぽになったうつしきは、この時間をしっかりと刻んでまた次へと進みます。
目一杯の感謝を込めて。
小西 紗生