うつしき

うつしき

空間は時間を引き連れている

おはようございます。

 

連日雨が続く日本列島、皆様が暮らす地域の被害が大きくないこと、命の危険がないことを祈っています。

 

人間がこの地球に住まわせてもらっている以上、自然の運びに逆らうこと自体が不自然な行為であり、
のことがもたらす不一致を改めて突き付けられます。

 

しかし同時に、身が引き締まるほどの自然への畏怖を抱く身体と同じ身体で

 

例えばしとしと降る日本らしい雨に出会えた時、いつまでも縁側から一粒一粒のささやきを聞けるほど落ち着いた凪のような気持ちになるのです。

 

喜怒哀楽すべての感情は、自然があるからこそわたしたちに宿っているのかもしれません。

私は築90年近い日本家屋で暮らして3年たちますが、外と内の境界が曖昧な空間において、
自然と人間の境目がいかになだらかで溶け込むようであるか感じる日々を過ごしています。

 

「空間は時間を引き連れている」

 

そんなことをふと思うのは、灰色の世界にどこまでも馴染む器を私たちはもっているという証でしょうか。

 

街を見渡せば、揺らぎのない画一的な材質、表情の建築物や、便利で味気ないサービスのお店が所狭しと並び、
どこにいっても同じ気持ちでいることができてしまいます。

 

旅に出ても、日常のだれかとSNSでやり取りしたり、仕事をしたり、私たちが体と感覚すべてを丸ごと投げこんで感覚することがとおざかっていきます。

おなじ景色や物事との出会いも、一瞬一瞬でほんとうは色を変えていて、何を感じることができるかも常に自分の状態によっていく。

 

目の前に現れている空間も景色も何もかもが、自分と誰かと、
目に見えない過去のものたちの時間を引き連れているのだということを感じながら、日々を生きていきたいものです。

 
のせるみ