はいいろオオカミ+花屋西別府商店の展示が終わり数週間。
未だ余韻の最中にいます。
いつもの居場所に残してくれた森の入口のような装飾。
お買い物の後にこちらとそちらを隔てる良い香りの緑の下に腰かけてもらって、
ゆっくりお話しをしてくれる方が多く感じられます。
今回のうつしきでの展で生まれた “森の小さな鏡”
実は作品には物語が付いています。
これまでも彼らの作品 “小さな森” からはじまり “森の小さな灯” と
合わせて3つの物語に出逢うことができました。
(以前の展の様子は対話や映像でご覧いただけます。)
それぞれの物語の文字を辿ると、
手を引かれるようにこの世界の奥へ奥へと惹きこまれます。
持ち帰った作品を選んだ時とはまた違った感覚に包まれて、
いつの間にかその作品との時間を過ごす入口に立っている気持ちになります。
物語の最後にある sence of wonder
(ひとつの訳として、美しいもの 未知なもの 神秘的なものに目を見はる感性 )
作品をひろげる彼らのきらきらと光る瞳をみているとすっと腑に落ちる言葉。
展示では作家さんが力を注ぐ今に出逢える。
自由に受け取って、新たな引き出しを増やしたり興味を深めるきっかけとなればと思います。
それぞれの物語のつづきがはじまります。
うつしきでは7月23日(木)より京都の陶芸家、清水志郎さんの展を開催します。
先日うつしき撮影部隊が取材に行き作品を託してもらって一部が届きました。
ご自身で足を運んでの土の採取を大切にしている志郎さん。
ひらく毎に驚きと好奇心をくすぐられる作品たち。
川か海か、なんだか水を感じるような香りを感じるものもありました。
作品名の他、ひとつひとつに添えられた短い小さなメモがありました。
土を採取した場所や、焼くときの配置なのかなと巡らせながら、
ひとつひとつに触れていくのは届いたばかりの箱を開ける特権です。
そのメモを見ていると料理家が塩加減のほんのちょっとの変化を比べたり、
染色家が季節によって状態の変わる植物の記録を細かにとっていくような、
途方もなく限りのない試行の積み重ねに想像が膨らみます。
期間中在廊してくださる志郎さんに、直接お話を伺える日が待ち遠しくなります。
今後うつしきホームページでの映像や対話でのご紹介もお愉しみに。
展示に足を運んだご自身の実直な感覚と、
誰かの感覚を通しての文章や映像との比較もおもしろいかもしれません。
小西 紗生