うつしき

うつしき

層を創る

いつ頃からだろう。
出来ると出来ないに境界を持ちはじめたのは。
曖昧だったそれは、いつしかはっきりと姿を現して
あちらとこちらとを分けるのが当然とばかり線が濃くなった。

歳を重ねたから、なんてのは恐らく理由にならない。

今回はご存知うつしきボスであり、作家 yasuhide ono のご紹介です。
文武両道、百姓2.0的な生き方の推奨や現代において
詫び寂び以降の日本の美意識や東洋的価値観を追求している小野さん。

自身で探し選んだ天然石を用い、様々な手法や表現で装身具を生み出す。
用いられた石が光を纏い唯一の存在でありながら店頭ではひっそりとさりげなく佇む。
その様子は共に並べられた作家さんの作品や衣服に主役を譲っているようにも見えます。
しかしながら近づき前に立つとそこから離れられないように惹きこまれ、、
訪れてくださった方がそんな風に立ち止まるシーンによく出逢います。

目に見える時間の蓄積ともいえる鉱物。
例えば水晶の成長速度は100年にわずか1㎜とも言われているそうです。
実際にはそれぞれの環境下によって異なり、1万年で育ったからといってその水晶が1万年前のものとも限りません。
成長が止まったまま何百万年、何千万年とこの姿で地中にいた可能性もあるようです。
そんな存在を身に着けられることがなんとも不思議で尊くもあります。

子どもの頃の想像のままになんだって叶えられるような自由な発想はだんだんと息を潜め、
物事の輪郭がはっきりしはじめると途端に怖くなることがあります。
表面的に知ることが不安を生み出すならば、もっと先へと知るを深めていったらどう変われるだろう。

毎朝出勤するとすでに机に向かっていて一心不乱に勉強している。
とは言え周りに起こっていることへも気が配られていて、
小野さんの意識はどこまで掬いあげているんだろうと驚かされる。

見えるものも見えないものもあらゆる事象を学びと捉えて追究は留まるところを知らない。
そして愉しくてたまらない!がびしびしと伝ってくる。

先日も大雨の中群れを成してとぶ羽虫の動きに目をとめて、瞬時に思考を巡らせていた。
導かれる泡ぶくのような、つむじ風のような、不思議な規則性でちいさな点が渦巻く様子が美しく、
存在を教えてもらってはっとする。
言われなければただのうっとおしい虫としか認知していなかったかもしれない。
一寸の出来事ですら発想に変換してしまう。

私がうつしきに入ってすぐの頃、発送の制限時間迫るなか
アクセサリー制作の手を進めながら゛大丈夫出来る゛と唱えていた。
そして実際やってのける。

もう5年も前のことですがとても印象深くのこっています。
それからも年月を重ね、出来るかどうかではなく
出来るにはどうしたらよいかをひたすらに考察して
現実のものとしているところを目の当たりにしてきました。

そうやってこつこつと日々を積み重ねる姿が、層を成す鉱物と結びつきます。

毎月新月から満月にかけてうつしきオンラインにて掲載されるyasuhide ono の装身具。
彼が提案する地球の一欠片とどうぞご縁が繋がりますように。

作家としての活動は10年を超え、すでに長年追ってくださっている方も多いと思いますが、
今回は小野ファンのみなさまへスタッフの特権で垣間見える時間をお届けです。

もし知らない方はこちらより彼の世界へどっぷりと嵌まり込んでくださいね。
知れば知るほど深く潜り込んでいきたくなること請け合いです。

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