いつもの道を歩いていると覚えのある香り
金木犀だ
一年を通して植物の存在で季節の移ろいに気づく
昨日までは気に留めていなかったのに、ふとした変化でそこに在ることに意識が向く
今日から十一月
先週まで開催のはいいろオオカミ+花屋西別府商店の展では植物の作品と共に古いペルシアキリムが空間を彩りました
一人の女性が生涯をかけて羊毛を植物で染、糸に紡ぎ織られたもので、実際に使われて、擦れたり直してある部分もある
構成されている模様は地域独特のものだろうか
名の知れぬ一枚に心を掴まれる
苦しい時も悲しい時も嬉しい時もただひたすらに女は手を動かして、その全部が織り込まれとる
七十歳をとうに超えた織りの先生がぽつりといった言葉がいつも心にあります
花屋に勤めていたことと、糸を紡ぎ織りをしていることもあり、今展は身体の中がざわざわと波立つ感覚になりました
幼少期よりずっと傍に置いているエロール・ル・カインの絵本
おはなしだけでなく、次に現われる景色をみたくて夢中でページをめくっていた
知っているのに何度だって驚かされる
作者は幼い頃から各国を転々とし、異なる文化が交錯した不思議な世界を生み出す
いつも予想を遥かに超える世界を見せてくれる展示とキリムに触れて
子どもの頃にわくわくした記憶が重なりました
つい頭の中で考えを巡らせてしまうけれど
自然に浮かぶ感覚をないがしろにせずまずやってみる
こつこつと小さな歩みを重ねる大切さを身に刻んでいます
常設になった店内は様々な地と時間と作り手とが混在する
うつしきならではの常の景色がまた魅惑的なのです
11/27(土)からは 山香デザイン室 小野友寛さんの展が待っています
愉しみにご予定くださいね
小西 紗生