山田洋次 展「Slipware」のご案内

風が田んぼの稲の葉の隙間を通り抜け
溶けそうな暑さをほんの少し和らげてくれる季節となりました。
まだまだ目の前の暑い日々は続きますが、秋に向かう緩やかな変化も感じる頃
うつしきでは、今回二度目となります陶芸家 山田洋次さんの作品展を開催致します。
日程 7月18日(土)ー7月26日(日)
時間 13:00-17:00
会期中店休日 22日(水)
作家在廊日 18日(土)
福岡県宮若市原田1693
0949-36-4092


うつしきでは二度目となる、陶芸家・山田洋次展を開催いたします。
今回の展示では、山田氏が長年取り組み続けてきたスリップウェアに焦点をあてます。
スリップウェアとは、泥状にした化粧土(スリップ)を器の表面に施し、流し、掻き、引くことで文様を生み出す陶芸技法です。
その起源は古く、古代ローマやイスラム圏にも類例が見られますが、十八〜十九世紀のイギリスで日用品として発展し、多くの人々の暮らしの中で育まれました。日本では柳宗悦らによる民藝運動の中で紹介され、その実用性と力強い美しさが高く評価されるようになります。
山田氏は、技法を学ぶためイギリスへ渡り、現地ではソーダ釉の制作に携わりました。その後帰国し、スリップウェアについては独学で研究と試行を重ね、現在の表現へと辿り着きます。異なる技法を学んだ経験と、自ら探究を続けた時間が重なり、山田氏ならではのスリップウェアが育まれていきました。
流れる化粧土。繰り返される文様。植物にも見え、水の流れにも見え、地層や風の軌跡にも見える。何かを描いているようで、何かを描いているわけではない。その抽象的な模様は、見る人それぞれの記憶や風景と結びつき、その都度異なる情景を立ち上がらせる。
土の乾き具合。化粧土の濃度。手の速度。その日の湿度。幾つもの条件が重なり合い、一度しか起こらない現象が器の表面に刻まれていく。それは装飾ではなく、土と人と時間が出会った痕跡です。
今回は、山田氏の数ある表現の中から、あえてスリップウェアだけをご覧いただく展示となります。
一つの技法を見つめることで、一人の作家が積み重ねてきた時間や思考、そして身体の感覚までも見えてくるはずです。
どうぞ展示にて、一枚一枚に刻まれた異なる表情をご覧ください。


プロフィール
僕の興味は18世紀に英国でスリップウェアが出来上がる過程において、当時の職人がどのような感覚で製作に向き合っていたかという事にある。
道具的な陶器の持つ形と、素材の特性を生かした無理のない即興的な手の動きによる痕跡(模様)を重要な要素と解釈し、身近な原料と窯でスリップウェア的な陶器の制作に取り組んでいる。
1980年
滋賀県生まれ。
2002年
信楽窯業試験場 小物ロクロ科 修了。
2003年
大阪日本民芸館の展示ポスターで古い英国のスリップウェアを知る。
2007年
渡英。Maze Hill Pottery にてLisa Hammondに師事。soda glaze(ソ-ダ釉)を学ぶ。
2008年
帰国後、古谷製陶所勤務。職人的仕事を学ぶ。
2013年
滋賀県信楽町田代にて築窯。




間もなくお盆休みシーズン。
皆さまの夏の思い出の一日となりましたら幸いです。
ご来店を心よりお待ちしております。
