深呼吸しただけではらはら舞い散りそうに満開の桜。
うつしきまでの道々が彩られ、庭の足元にも小さな草花たちが花の道をつくっています。
せっせと地中や見えないところで準備して、毎年各々の出番に舞台に飛び出し、
いまだ!という瞬間に景色を作ってくれているかのようです。
この世界はたくさんのささやかなものたちの集まりでできていると強く思わせてくれる春。
昨日大賑わいで永瀬二郎展閉幕しました。
お越しいただいた皆さん有難うございました。
今回のおたのしみは何といってもアルミのびのびワークショップ!ANW!
いつもとまるっきり違ううつしきの設え。
入り口にでんと鎮座する畳の上に様々な道具が並びお出迎え。
二郎せんせいの指導のもと切り出したアルミの破片を叩いて自由に形作っていきます。
ひとたび叩きはじめるともう皆夢中になって没頭。
熱中して2,3時間作業に集中する方も。
匙と銘打ってありましたが、ナイフに眼鏡、お香立て、
わにがいたり何かわからない想像をくすぐられる形も、、、
頭で考えこまなくても手を動かすと身体から伝ったことがアルミにみるみる現れていく。
シンプルな道具が使い方で多様な役割を担っていることを知れたり、
制約の中でどんなふうに広げていくかも人それぞれで
かちかちの頭を叩く振動と共にほぐしてのびやかにするWSにも感じられました。
アルミの道具だけでなく、音楽機材に撮影機材も設置され、
皆の作業音を録って編集した生まれたての音楽を流し、そこにまた別の人の生の作業音が重なり、
完成後はお手製のスタジオで写真撮影。
こちらのブログの写真も二郎くんの写真を使わせてもらっています。
最終日は浅草でワインバーを営むComptoir Coin丸さんがすべてアルミの器で構成するコース料理。
自然派ワインがずらりと並び料理との組み合わせを楽しめる贅沢な会。
お食事を終えた皆さん、口福そのものな顔で美味しさを伝えてくれました。
打ち上げでは持ち込んでくれた窯で焼いたピザが最高に美味しくて、
たっぷり仕込んでもらった大量の生地があっという間にみんなのお腹の中に。
今回立ち飲みバーのフリースタイルの時間も設け下さりお客さんも一緒になって愉快な時間となりました。
子どもたちはピザづくりが楽しくて取り合いに。
自家製のふわふわの生地を赤ちゃんをさわるようにね!と丸さんに教えてもらいながら誇らしげに振舞っていました。
ぱぱっとつくられるものがシンプルなのに魔法をかけられたように美味しく、東京近郊の方はぜひお店に足を運んでくださいね。
連日在廊で10日を超える合宿のような期間を共にし、
付いて離れない春休み中の小野家の子どもたちは朝から作品づくりがはじまっていました。
子どもたちが今やっていることを゛自分の仕事゛と言う二郎くん。
工夫してそこに在るものでの物づくりが日常で、
道具を大切にすることや、創ることへの向き合い方をさり気なく伝え、
私自身心に留めておきたい内容が散りばめられていました。
完成された作品を見るだけでなく、作り手側を体験することで受け取り方に厚みが増した気がします。
そしてみなさんの手放しでたのしい!!を感じている様子を傍で見られて、
そんな姿が心から嬉しいと実感しました。
そして私も体験にて存分に楽しさを味わわせてもらい完成できた匙。
冷蔵庫には不揃いのちび苺がごろごろねむっている。
ジャムにして出来立てのアルミスプーンで掬うのを想像して愉しみがふくらんでいます。
それぞれの暮らしの中で、創った先の続きが育まれますように。
小西 紗生