うつしき

うつしき

母と娘

 

夏至を目の前に6/11日よりCOSMIC WONDER 「 白 光の夢 」展が始まりました。
白い衣の中から好きな色の染めを選んで衣として完成させる試み。
真っ新なところから浮かぶ自分の色。
引き続き展示は19日まで続きますのでどうぞご縁あればいらしてくださいね。

わたしは琉球藍で染めた南インドの絹と綿を手織りした縞絹綿の夢シャツドレスが今季のお気に入り。
繊細で軽やかな衣は気品があって、おろし立てのこのドレスを纏ってさっそく6月初旬、母の退職祝いに大分湯布院へ。
心地よい衣と相まって終始夢心地で旅をしていたよう。

 

 

1年ぶりに母とは再会、そして二人で初めての旅行。
小さな頃の記憶や思い出を話すこともしばしば。
27年間務めた会社を退職し、肩の荷が下りたという母。

この節目にやり切った表情を見ることが出来たのは娘にとっても嬉しいことでした。

 

保育園のお迎え時にオールバックでスーツを着て迎えに来る母を見てかっこいいと思っていた幼少期。
憧れて母の大きなパンプスを履き、歩いて音を鳴らしてキャリアウーマンに成りきるごっこをしていたのも遠い記憶。
母の味は思い出せないけれど、フルタイムで働いて休日もよく動く逞しい母。
寂しい思いも、厳しく感じることもあったけれど、愛情はいつも注いでくれていたと思います。
全てが憧れの母親像ではないけれど、してくれたことは自分の子どもにしてあげたいと親になり思うようになりました。

この先もずっと母と娘という関係性は変わらないけれど
小さい子どもだったは娘は大人になり、結婚をし、子どもたちがいる。
東京で一人暮らしをしていた頃は母の存在が大きく、実家に帰ると安堵していましたが、いつからかそれはなくなり、落ち着く場所は今の此処であり、支えてくれる存在が子供達に変わっていきました。わたしの本当の自立は大分遅く、守るべきものの存在を自覚した時にようやく親離れが出来たように思います。

 

そんな中、
“お母さんってこんな感じだったっけ…?”
“こんなによく喋ってたっけ?”
食事中ワイングラスを割り、バーでグラッパを飲み干し、帰ってソファで大音量でyoutube見ながらウトウトする。
と、18歳までの母親像とはまた違った一面に触れた今回の旅行。娘の方がしっかり者のようになる場面が多くなってきたように感じたのがなんだか可笑しい。

 

 

それは母が年を重ねたからなのか。
わたしが年を重ねたからなのか。
その両方が相まってなのか。
それぞれの時間の経過とそれぞれの変化を感じました。

 

わたしたちは所属している場所の関係性の中でそれぞれの役を担いながら生きています。
母という側面とは別に一人の女性の生き方を知りたいと思った日。
何十年もの付き合いなのに、あらためて一人の人と人が向き合ったような貴重な時間でした。
そして、たまにはこうゆう時間が必要で、役を頑張る為に役をお休みする日も大切だなと、お留守番してくれた家族に感謝するのでした。

 

 

小野 佳王理