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選ぶもので景色はつくられる

選ぶもので景色はつくられる

常々記憶から連想される感情について心に留めることがよくある。

 

ダウン症の弟をはじめ、すぐ傍に知的障がいといわれる性質を持つ人が多い環境の中にいて、
ある分野においての記憶の確かさに驚かされることが多々ある。

 

そんな出来事に瞬間瞬間心を動かされてきたからなのかもしれない。

 

自閉症の従妹は宿泊先で急に泣きじゃくり動けなくなってしまった。

 

やっとわかった要因は、部屋の欄間の模様が幼い時に少しだけ過ごした部屋のそれとまったく同じで、
一人で留守番していた時の心細さなんかの記憶ごとどっと沸き出したのだった。

 

自閉症の特徴としてつま先歩きをする方が多くみられますが、
感覚が鋭敏で地面からの刺激に耐えかねる為という説があるそう。

 

合気道で地からのエネルギーを脚元から全身の力にする練習をしていると、
余計にその刺激の強さを想像してしまう。

私は大学でテキスタイルを専攻し織物をしていたのですが、家具となるような敷物やタペストリーばかり織っていた。

 

子どもの頃に過ごした時間の背景にいつもあったジャガード織りのカーテン。

 

複雑に幾つもの色の糸で構成されたものを幼いながらに綺麗だと思っていた。

 

家族と過ごしたあまやかな時間や苦さを味わったこともそんな背景の中にある。

 

景色から思い起こす時間が自分の中でとても尊く、
そんな景色の一部をつくれたらと思っていました。

 

取るに足らない背景のひとつに成り得るもの。

今、身のまわりにあるものは、自ら手に入れたものとどこからか譲り受けたものの双方が混在しているけれど、
一緒に居ることを選んでいるのはやはり自分。

 

進んでいく時間をつくる一因ならば、大切に思えるものでなるべく構成したい。

 

そんなことを思いながら “選ぶ” を楽しんでいこう。

 
小西 紗生

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