せいかつがはらむもの


そろそろ赤い花が満開になる季節
今年は白い彼岸花が庭に咲いていた
赤のように目立たず
群れをなすことなく
控えめに咲く姿は
今日という日にささやかな喜びをもらったよう
100点ほどの衣がずらりと並ぶ衣服の展示
「居相展- 場を纏う、時間を纏う」が9月13日から始まりました。
一見派手なように見える衣は、身体に寄り添うしなやかさを持ちながら、手や物を入れたくなるような大きなポケットがあったりと実用性も伴っています。
袖を通した瞬間に、居相が日々生活をし、暮らしを育くむ中で
生まれたものばかりであることを、感じずにはいられません。
生きるために必要な活動を己の生き方と照らし合わせ
共にする家族との調和を基盤として、精神的な充足を重んじる。
「なきうみ」という彼と彼の家族が生活をする場を訪れた時に
小さな子どもであっても家族皆が互いを尊重し合う調和を感じたのを覚えています。
人だけではなく、動物も、花々も木々も安心しているようでした。
沢山の人々の心の奥に静かに潜り込んでいく、生活から生まれた衣
そのような生活は自身に置き換えると程遠いかもしれない。
ついつい、子どもに片付けろ!と知らず知らず鬼の形相になっていることにハッとする。
何もしないと思うのなら、相手も自分に何かを望んでいるのかもしれない。
勝手に自分が鬼になり、勝手に相手のせいにする。
一緒に居る人の生活を無視したところに調和は生まれない。
無視して、整っていたとしてもそこは美しい暮らしの場所にはならないだろう。
自分を想うこと、家族を想うことから生活は想い描く暮らしに近づいていくのかもしれないと、ひとつの衣から希望をもらうのと同時に自身を振り返るのでした。
展示中、みなさん長く滞在され、袖を通すだけでなく、
それぞれの生活を聞くのも愉しいひとときです。
どうぞ沢山お話しをしながら自身に合う一着を選んでくださいね。
「iaiは暮らしのなかにひかりをみれる衣
そんな在りようの衣に想いを馳せ
速い服たちのずっとうしろから
遅れていきます」
以前のiai の衣に添えていた紙に書かれていたこの言葉がとても好きでした
白い彼岸花を見たときにふと思い出したのです
“せいかつの花”
以前住んでいた山のほとりにある小さな村の村人の衣服がはらむ 生活のよごれに惹かれ
そこに人と風土のかかわりをみたと言っていたその精神は6年ぶりの展示でも変わらずでした。
「最後の最後まで展示を楽しんでほしい」という居相さんの熱い思いより、途中で衣を追加してくださっています。
展示は明日23日(火・祝)までとなりますので、最後までどうぞお愉みくださいね。
今日も佳き一日を⚪︎