先週の金曜日から二郎さんもうつしきに到着されてみんなで設営準備を進め、無事に永瀬 二郎展開催しています。
一度空間を空にしてから作り込んでいった今展の空間。
作っている過程の中で二郎さんの頭の中を覗いているような感覚がとても面白くて、
自分の中でも発見の多い貴重な設営の時間だったように振り返っています。
うつしきに来訪される前に一度3DCADで展示イメージを徹底的に作り込んできた二郎さん。
そのイメージを現場で組み立て、何か違うと思ったら、当初予定していたイメージを壊し、
新たなイメージから空間を作っていく様がとても印象的でした。
当初のイメージに固執しすぎない、臨機応変に対応する二郎さんの軽やかな思考。
事前に徹底的にうつしきの空間と向き合い想像していたからこそ、
最終的な着地点として創造されるものにも深みが増すのだと完成した空間を見て思わされます
空間は、これまでのうつしきの展示や常設ではないような空間に仕上がっていて、新しい表情のうつしきに自分の気持ちとしてはとてもフレッシュ。
「木とアルミ」、「空間と作品」、「自然光と照明」の調和が取れた素晴らしい空間になっているので、
ぜひこのタイミングを逃さないでうつしきへ遊びいらしてください。
今展の目玉としては、なんと言っても「火起こし機」。
実際に体験もさせてもらえるようにサンプルも準備されていて、自分もはりきって体験してきましたが、これがすごく難しい。
二郎さんがやっている姿を見るととても簡単そうに見えるけれど、実際にやってみると全くうまくいかないんです。
「コツがいるんすよね」
と話す二郎さんにその「コツ」を伝授してしていただき、なんとか自分一人で火を起こせました。
大昔の人たちは、こうやって毎日生きていくために火を起こしてきた歴史を思うと、
人として進化しているのか、退化しているのか、わからなくなってしまいます。
これだけ便利な時代や環境を考えると、今回の「火起こし機」なんていうのは現代の生活には必要のないものかもしれません。
ただ、便利が故に失っている感覚も存在していることを忘れてはいけないと、改めて二郎さんの「火起こし機」を使ってみて思うことはとても大きい。
火が起きる原理や、火のありがたみというのは、普段の生活では考えることなんてほとんどない中で、そういった感覚というのは、
自分自身がこれから生きる人生の中で大事にしていきたい感覚でもあり、その感覚こそが人としての底力というか、人をより強くすると僕は思います。
時代には逆光した作品かもしれないけれど、一度、二郎さんの「火起こし機」を体験すると自分の中で忘れていた感覚に出会えるはず。
展示は8/1(日)まで。
うつしきよりお待ちしています!
小田 雄大