うつしき

肌で受け取る

子どものころ手放せないタオルとか、
擦り切れるほどにぼろぼろでも包まっていたくなる毛布とか。
まだ物心もついてないうちから、傍にあると安心する感覚を
誰しも持っているかもしれない。

 

自分自身が物事に敏感になっているとき、
刺激をまともに受け変化の現れる肌に悩まされているけれど、
その感覚は心地よいと感じることも敏感に捉えられるのかもしれない。

 

最近の私のテーマは肌触り。
 
そんなことを思い以前より学びすすめていた織物により気持ちが向いています。
 
糸を紡ぎ織る のはじまりはどこかしらの地で過ごしていたその土地の空気をまるごと含んだ羊の毛を洗うところから。
 
たっぷりの油分とひっついていた牧草や汚れなんかを取り除いたらだんだんにあらわれる風合い。
 
同じ産地でも一頭一頭の個があるし、私たちと同じように産毛のような柔らかい毛と身体を守って頑丈になった部分の毛とでは肌触りが全く違う。
 
陽の光で水気をとってふかふかになったら紡ぐために毛並みを整えて、
指先や掌だけでなく腕や首とあちこちで肌触りを確認しながら進めていきます。
同じ刺激でも身体の部分で感じ方が変わってくるから面白い。
 
私の場合出来上がりを目指すことが重きではなく、
それぞれの段階で肌に触れる感覚の変化を探ることが興味の大部分になっています。
肌を伝って自身にも作用していることを受け取りながらひたすらに糸に姿を変えてゆきます。

身体の部分的な感じ方の違いだけでなく、
自分の状態で、外からの刺激の捉え方は幾様にも変わります。
人と人との触れ合いは特に伝わりやすい気がします。
 
落ち込んでいるときに人に背中をさすってもらうと言葉だけでは受け取れない感覚が水が流れ込むように満たされることも。

 

感覚はそれぞれに持っているその人ならではのもの。
 
五感の中でも肌を通してどんなことに気が付けるか意識して探っていこうと思います。

小西 紗生