彼岸花も大いに咲き、秋分を過ぎようやく秋めいてきましたね。
ひとつひとつのご縁を大切にしながら歩み続け9月12日にうつしきは9年目を迎えることができました。
いつもありがとうございます。
日頃より“うつしき”というお店の名前の由来は何ですか?
というご質問を頂きますが、この言葉を振り返った出来事が先日ありました。
普段あまり馴染みがない言葉かもしれませんが
古事記にかかれていた”うつしき”(ウツのシク活用)という一文から抜粋。
よく ” うつくしき 小野様 ” とメールに書いてお間違えになる方が多いように…笑
一目見た時の印象が”美しい”を連想すること
声に出した時の響きが綺麗なこと
“うつ”は“うつし(現し・顕し)”、うつす(移すや写す)の源流になり、
うつろいゆく四季や変化し続ける場所という意味を持たせてます。
また、建築で柱や梁などの構造材が見える状態で仕上げる手法や天井を張らずに梁を見せることも
現しというそうで、建物の構造も同じだったことから腑に落ちた言葉でした。
古物を選ぶとき、作家さんの作品を取り扱いさせて頂くとき
経年変化が美しいものをを意識している点でも納得のいく名前だなあと常々口にする度に思います。
そんな中、夫が師事している松岡正剛氏の著書を読んでいると
「日本語では“空”を”ウツ”と読む。
“ウツ”はまた、この語源から”ウツツ”という単語をつくります。
ウツツは”夢うつつ”のウツツで、漢字で綴れば”現”という文字になる。
“空なるウツ”から”現なるウツツ”が派生している。
空虚と現実はまったく逆のものと考えられているのにもかかわらず、実際にはウツからウツツが出ている。
ということは”現”というのも一種の”仮”であって、その背後には” 空”が控えているということなのです。」
“空”を”ウツ”と読むなんて知ってましたか?
ちょうど娘が保育園でもらった国語辞書が目の前にあったので調べてみると意味のところの端っこに”うつろ”と書いてあり、
今度は角川の国語辞書を引くと特殊音訓で”空ろ(うつろ)”と書いてあります…
もっと堂々と書いて~!
空という漢字は小学一年生で習い、現は小学5年生で習いますが
空=現だということが頭の片隅にあったら
全ての物事の根底にある”空”という概念を小学生の頃から自然と体得するのではないかと思ったりするのでした。
年明けから般若心経の写経を始め、”空”とは一体何なのか…
追いかけていたら、うつしきと結びつくからびっくり。
お店の名前を決めるときにふと入ってきた”うつしき”という言葉
思い立って始めた般若心経の写経がなければ”ウツ”という言葉は通りすぎていたことでしょう
縁が集まり、うつしきが存在すること
うつしきは即ち空であり、固定した実体のないもの。
変化をし移り変わってゆく。だからこそ愛しいところ。
松岡正剛氏が”空は虚しさではなく、伽藍堂であり、きわめてスッキリとした陽気なもののような気がする。”
と書いていました。
そう、そんな場所で在りたいと9年目を迎え心に刻みます。
変化の年でもある今年。営業形態などが不規則となりますが、あたたかく見守って頂き、お力添え頂けると嬉しいです。
花月日の展示は一日延長し今日まで。今週末からは市川孝 展が始まります。
こちらの展示は前半はWS、茶会のみとさせて頂き、一般販売は木曜日(初日のみ予約制)になりますので
ご参加、ご予約希望の方はご連絡くださいね。
今週も佳き日々を。
小野佳王理