むかしむかしあるとことに……
こんな冒頭ではじまる物語が大好きで幼いころから親しんでいました。
その理由はおしまいが必ず めでたしめでたし と締めくくられるからだとある時気が付きました。
どんな出来事があっても着地点は同じで、
どこかしらそんな安心感のうえで想像できる終わりがあるからこそ。
今年福岡では珍しく、まっしろな景色に覆われた年のはじまりを迎え、1月も中旬に差し掛かり2021年のうつしきオープンとなりました。
雪馴れしていないこちらの地域では車を出すことができず外にでることもままならない。
引越して必要最低限のものしか置いていない我が家では、すこしの不便さも伴いその中で愉しみを探すのも静かな発見でした。
普段自分勝手に持っている時間の概念に追われ、一日一日を完結できていなかったなあと思い、日記を書くという新しい決まり事をつくりました。
振り返るとその日出来なかったことばかりに重きを置いてしまう毎日。
今日は昨日の続きだけれど、今日を認めることで新しい明日をめいっぱい過ごせるかもしれない。
着地点がわからない物語は怖さもあるけれど、自身の日々は自分自身で積み上げていくしかないのだと改めて感じています。
1月にはじめたまっしろなノート、汚れも気にせず日々を綴っていこう。
すっかり雪も解けて、うつしきには連日たくさんの方が訪れてくださっています。
人とものと自然豊かな景色が一体となったこの場所が、刻々と変化する様子は格別なのです。
そんな日常に感謝して、この場所が皆さんの拠り所となればと思います。
今年も豊かな時間をご一緒できますように。
新たな一年もどうぞよろしくお願い致します。
小西 紗生