うつしき

うつしき

見えないものを感じる夏

七月も半ばを過ぎ、我が家の周りは
虫の鳴き声で賑やか!
蝉の大合唱や鈴虫の声は、なぜか子供の頃の夏休みを思い出します。
今週からお子さん達が夏休みという方も多いのではないでしょうか?

私は先週、少し早めの夏休みをいただき
家族で仕事も兼ねて、関西方面へ行って来ました。
福岡から車で長距離移動しながら、五泊六日の旅。

行ってみたかった場所や会いたい人に会う旅は、夜空に点々とちりばめられた星を繋げて行くようなわくわく感でした。

今回の旅のメインは二つの「お山の上」。

うつしきでもお馴染みの笑達さん・川井有紗さんご夫妻の暮らす和歌山県紀美野町のお山を訪ねました。

三歳の息子は、有紗さんが店主を勤めるensから見えるお山の景色を
「トトロが出て来そうばい」と言う。

穏やかで優しいお山の姿は、どこか笑達さんと有紗さんをそのまま映し出したかのよう。
そんなお二人の暮らしに触れる時間は、間違いなくこれからの自分たちの糧となるであろう貴重なものとなりました。

次の目的地が近づいた頃
目の前に現れたお山は、湧水が至るところから流れ落ちて来て川となっていました。

数日前の大雨の影響で土砂崩れや倒木の跡が残り、一見近寄り難いような、それでいてこの土地を守っているような神聖な雰囲気を醸し出していました。
私達は、ここを通してもらえるのだろうか……
そんな事が一瞬、頭を過りました。

慎重に山道を登り、視界が開けた瞬間
ここだ!と安堵する私達を笑顔で出迎えてくれたのは、「野原」の佐藤健司くん。

健司くん、野原ちゃんご夫妻の暮らしを見守るように家の真向かいに鎮座するその山は
元伊勢神宮の御神体であり、人が足を踏み入れる事を禁じられていると言います。

山を眺めながら
「もののけ姫の世界だなぁ」と夫。
一言で山とか自然と言っても
場所によって感じることがこんなにも違う。

普段、山も自然も見慣れているものの
場所によって感じるものが違うのは、やはりその土地のエネルギーという目に見えないものが存在するからなのでしょう。

滞在中、大雨の被害を受けた裏山の復旧作業や野良仕事のお手伝いをする予定でしたが
しとしと雨が降ったり止んだり…
「天は休めと言っているよ」と健司くん。

お山の神様は、長旅の疲れを優しく癒してくれ
その後の私達の旅路を佳き方向へ導いてくれていたような気がします。
もしかしたら、出発する前からそれは繋がっていたのかもしれませんが……

この夏、山や自然に触れる体験
目に見えない存在を感じてみてはいかがでしょうか。

田上まり子