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見えていなかったものが急に現れる

小野 佳王理

小野 佳王理

せいかつのまんなかに ただ あるもの。
見えていなかったものが急に現れる


キッチンのテーブルに

娘たちが保育園の散歩で摘んできたお花を陶器のカップに入れて飾っている


花が好きとか癒されるとかあんまり思ったことがなかったなぁ…


母親は何十年もいけばなを続け

いつも玄関に花が飾ってあった


でも、その花に興味を持ったこともなかったし、名前を聞いたこともない

母が「うちのみんなは花に興味がないんだよね」

そうぼそりと言いながら活けてある花の向きをさっと直した記憶だけがある

 


自分の撮った写真を見返すと

なんやら花が多くて

花が好きなわけじゃないんだけどなぁ…と首をかしげる

花を好きな人が周り多いから、その愛と比べるとよくわかる


ただそこに在るから見る

花を見て優しい気持ちになんてならないし、かわいいという感情も湧かない

それよりもぱっと見では「花」だったものが、
近づくと、産毛みたいな毛、透ける葉脈、花びらの傷

色の滲みや、左右非対称なかたちが現れてくる


そして面白いのは、
よく見るほど、「完璧な花」ではなくなっていくこと


小さな欠けや歪みが見えてきて、
急に「生き物」になる


花を通して見ているのは、対象そのものというより、

「注意深く見ると世界は別の姿になる」という感覚

 

たしかに、根を張ってどこかへ行くことができない

植物の不自由な一生の在り方に惹かれているところはある

 

 

昨年の講座「つちとて」で設たハーブガーデンから育てているイタリアンパセリ

その一部を摘んでキッチンの窓辺に置いていると

畑の様子を見ているようで一気に外との隔たりが薄くなったようだった

ぴょろっと小さなおしべが出てきた瞬間を見逃すことなく見れるなんて、と興奮...!


あれ、もしかして花が好きってこういうこと?

というか、こうつらつら書いていると十分好きなんじゃん、と思えてきた


「花かわいいでしょ?」と差し出してくる子どものように

色々と理由をつけないと好きだと言えない、素直じゃない自分がずっといた


母のような好きとは違うのかもしれない

お花屋さんに並ぶ花を選ぶ感覚とも違うのかもしれない

けれど、気づけばいつも見ていた

好きって、案外あとから言葉になるものなのかもしれない

せいかつのまんなかでずっと存在していたのに見えていなかったんだなぁ

 

今日は何が急に現れてくるのだろう

 

みなさま、佳き一週間を◯

 

 

 

小野 佳王理

小野 佳王理

せいかつのまんなかに ただ あるもの。

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