宝探し

はいいろオオカミ+花屋西別府商店展が幕を閉じ、彼らの手で庭には新たな植物の装飾が棲んでいます。
訪れる途中、皆様が足を止めゆっくりと庭で過ごしてくださるのが嬉しいです。
在廊中、うつしきの裏庭や近辺より集めた植物で空間を設えてくれた西別府さん。
地元の方々は何もないと謙虚に言われる宮若市ですが、
ここには何もかもがあると目を輝かせるシーンを何度も目にしました。

今、うつしきの庭はざわざわと春の準備で忙しい。
冬の間にすっかりいなくなったと思っていたら、土の中で時を待っていました。
小さな芽吹きやつやつやに光る生まれたての産毛。
落ち葉や朽ちた草の中をかき分けるとそんな姿がそこかしこに在り、
景色はみるみるうちに変わっていきます。

今年は例年より暖かく、早くも烏野豌豆があちこちに出てきていました。
季節が変わる頃、染色をしている人は植物の変化に目を光らせています。
烏野豌豆は花が咲く前のわずかな時期を見逃さずに。
あまりに身近で雑草と分類されがちな彼らですが、薬草にもなり
草木染では貴重な緑色が採れる数少ない植物です。
花が咲いた後はまるで違う色になります。

私が大学の頃よりゆっくりと学び進めている織物。
今は主に羊の毛を糸に紡いで織っています。
糸を紡ぐ前の原毛をうつしきの烏野豌豆で染めてみました。
色をもらうために煮出すと、マメ科らしいこっくりとした香りが立ち昇ります。
今回使った原毛は光沢のある絹のような風合いが美しい羊。
この色を少しずつ差し色にした糸を紡いだら、
ふくやかな雰囲気の糸が出来そうと想像が膨らみます。

私の織物仲間のおばあちゃん達は自慢の料理のレシピを披露するように、
染めや織りの知恵をいつも話してくれます。
植物の変化にもすぐに気が付き嬉しそうに教えてくれる。
そんな学びを頂きながらこつこつと積み重ねていっています。

気温の変化が著しくミモザがあっという間に満開になりました。
ずっと遠くからでも目に飛び込んでくる鮮やかな黄色は、
うつしきの入口で出迎えてくれます。
植物たちは自然の変化に敏感で、
起こりうることをしっかりと受け止めるところが魅力のひとつかもしれません。
春はもうすぐ傍に。

小西紗生