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ひとはりの重なり

のせるみ

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触れるものも触れないものも、健やかに巡るほうへ
ひとはりの重なり

先週土曜日から開催中の、任飢餓 宥子 展示会。

 

初日・2日目と足を運んでくださった皆様ありがとうございました!

 

迎える初夏に袖を通したくなる透き通るような藍、茜、蓬やソメイモなど眺めただけで心躍る衣が風になびく景色が広がっています。

 

試着される皆さんのお顔が例外なく輝いていく様を見て、彼らの生み出す衣には特別なエネルギーが流れていることを確信すると同時に「衣の力」に高揚せずにはいられませんでした。


2019年の前展の際、私はお客さんとして任飢餓 宥子の衣と出会いました。

 

当時、緊張しながらも心奪われたものに袖を通し、袖を通すことで開かれる可能性に感動し、結局その殆どを購入。

 

清水の舞台から飛び降りるような体験でしたが忘れもしない時間でした。

 

なにが私をそうさせてのだろう?

 

美しい色、気持ちの良い素材、愉しい表情…

 

心動く箇所はたくさんあるのですが、中でも衝撃だったのは「ひとはり」の並々ならぬ丁寧さでした。

 

てん、てん、てんと小さく刻まれる針の通り跡。

 

どこまでもその点を追いかけていると、吸い込まれるような静かさが訪れると同時にその手仕事が、「見た目のためのデザイン」や「機能」ではなく衣に対する「愛しさ」と「妥協しないなにか大切なこと」であることを感じるのです。

 

 

わたしは中国語を話せないので母国語での会話は叶わないけれど、彼らの衣に宿るエネルギーは、そもそも言語で説明することのできないそういう、生き方や在り方そのものに思えます。

 

ちいさなひとはり、されど大きなひとはり。

 

任飢餓 宥子の衣に宿るエネルギーはひとはりを重ねた先にある大きな世界を感じさせてくれます。

 

点を置いていくように日々を積み重ねられたなら彼らの衣のように美しく気持ちのいい人生がつくられるのかも…

 

今日も、気持ちよく過ごせますように〇

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