春を祝う

日置哲也 展 大盛況の日々を有難うございました。
作品を゛選ぶ゛の次は使って跡を蓄積する愉しみが続いていきます。
あっ という間に季節がめぐり気持ちの良い陽気。
昨日と今日とでは暖かさがまるで違う日々に、一晩のうちに世界を変えてしまう力に驚きます。
もうすぐ昼と夜との長さがひっくり返る。
寒さに震えながら雪だるまのように着込んでいた衣服も一枚二枚と減っていき、待ち侘びた春。
3月19日ー27日まで野 原 × 花月日 展 を開催します。
親愛なるゲストもお招きし賑やかな春祭りとなりそうです。
3度目を迎えるすっかりお馴染みの野 原。
京都に拠点を移し環境が変わった中、広々とした作業場で衣服の制作に心向かっているようです。
美しく確かな縫製も相まって、纏った時の安心感は格別です。
その後の端切れは小さなものたちに。
初日に来てどんな風に分け合って形を成しているのかに注目してみるのも魅力です。
独立して間もない花月日ははじまりの展。
関東より隣町の鞍手に移住され毎日のように在廊してくれます。
心行きわたり細やかな部分もご相談に乗ってくれますよ。
野 原 も 花月日 も小学生低学年で習う漢字。
そしてその一字一字の文字姿だけでなく、景色や存在に多くの方が馴染みあると言っても過言ではないでしょう。
幼い頃より惹かれて病まない赤毛のアン、そういえばこんな一節がありました。
「薔薇はたとえどんな名前で呼ばれても甘く香るというけれど、そんなことはないと思う。
アザミとかスカンク・キャベツとかいう名前だったら、あんなにいい香りはしない。」
子ども心に妙に納得したのを覚えています。
名前の持つ印象はいつしか重ねる記憶と共に揺るがないそのもの自体を形成するように思います。
そして逆も然り、名を持つことでそこに向かっていけるような役割をも果たす。
親しみ深い名と共に、彼らが生み出すものはいつの間にか日々に寄り添い、なかった頃をわすれてしまいそうなくらい当たり前のように傍に居ます。
展を盛り上げてくれる橡 人(もくじん)の喫茶。
家族が増え、拠点も活動名も新たになった彼ら。
暮らしを大切に、力強い根っこを感じるような活動も合わせて知ってもらいたい。
今回の喫茶はちょっとしたお楽しみも潜んでいるそうですよ。
喫茶で身心整え自らを満たして、じっくりと作品と向き合ってくださいね。
最終日のmaikaさんのソロ活動 Meadow 演奏会
幾度もbaobabやコーラスで世界を拡げてくれたmaikaさんのソロは、心静めて身体中で受け取りたくなる音楽。
うつしきの演奏会は演者さんのすぐ傍で味わえるのが魅力のひとつ。
古い合掌造りの建物が音を吸い込んで呼吸するように空気ごと音に染めあげます。
この場で触れられることが今から愉しみです。
みなさんと共に時間を過ごせますように。
盛りだくさんの内容ですが、終始夢中できっと瞬きひとつくらいに感じそうな予感です。
それではうつしきでお逢いしましょう〇
小西 紗生