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春を纏う

春を纏う

立春をすぎ寒さの中にもあたたかな陽射しが届くようになってきました。

うつしきへとつづく庭を歩くと、てんでばらばらの時代に植えられた多様な植物たちがにぎやかに出迎えてくれます。

「まず咲く」を語源にもつ万作をはじまりに、水仙が花ひらき、木蓮が蕾を膨らませています。

冬のあいだ土の下や枯木の中、それぞれの持ち場でひっそりと営みを続けていたものたちが今か今かと出番を待っていて、自身の都合だけでなく外界で起こる様々な作用を合図に現れます。

同じ頃、COSMIC WONDERより春の訪れを報せる衣が届きました。

以前よりベーシックな意匠として作り続けられており馴染みのある方も多いFarmer dress。

実は都度、緻密に生地やデザインを調整されています。

つくりをよくよく見てみると身体に密接な衣服の役割でありながら、それを包み込む建築的な要素も思い浮かびます。

一部分の素材が変化することで取り巻くもののバランスが変わり、袖の膨らみのような着用して立体的になった時の表現だったり、生地の風合いで起こる揺らぎであったり。

私の想像ではまったく及ばない多数の事柄で成り立っているように感じます。

つい目のいく独特な布の切り替えは、身体のかたちをより魅力的に見せる部分に施されているようではっとさせられます。

前回のコンセプト゛Days of light゛でのFarmer dressではブロード、サテン、かろやかなローンによる3つのオーガニックコットン布で構成されていました。適度な密度を持った張り感のある素材が美しいシルエットを生み出していました。

今回゛光の夢゛での展開では綿麻野良ファーマーズドレスと題されて、コットン、リネン、ラミーと3種の素材を合わせられています。

よく揉みほぐされたとろんとやわらかな布地が心地よく、心が弾むような軽やかさ。

春を迎えて太陽の高度と光の強さが変わり、同じものでも見え方が異なることに気が付きます。

季節の変わり目はそんなことで実感するような気がします。

冬の暗さを味わったからこそ感じられること。

光の小さな粒子がそこかしこに浮遊しているような景色の中、柔らかな繊維が残らず光を受け止めて、光もデザインの一部となり得るようなドレスです。

COSMIC WONDER COLLECTION
光の夢

現れた無限のひとつのとき

夢が現実の光景にたちあがる

あなたは目覚め美しさを生きるから

輝く水辺に揺蕩いながら舟でさる

静かに微笑むわたしとあなた

永遠を越えてゆくところに

夜明けの反射に姿をうつしてみると

甘露の香りが立ち込める

ゆらゆらと求めるところへおりて

輝く大地に身を沈める

歓喜する輪が舞うころ

おすすめの併せ
yasyhide ono 装身具
毎月新月から満月にかけてオンライン上で発表される多彩な作品。
ドレスの印象的な袖のデザインはほどよく手元がすっきりしていて装身具が映える。
初春の繊細な光を集めるように美しく輝く水晶リング。

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