ひとりぼっちでいられるということは
小野 佳王理

いつぞやに植えたクリムゾンクローバーがぽつんと咲いている
緑の中、真っ赤な花が目に止まる
その足元には少し珍しいかたちの葉がいつのまにか増えていた
よかったね
安心してみんなが
ひとりぼっちでいられる
いい店になったね
「安心して、ひとりぼっちでいられる」
最近、夫がすすめてくれた漫画の中で
BARのマスターが古本屋の店主に放った言葉
それが、夫、ヤスヒデオノが「おのさんぽ」を終え、帰国する二日前に気づいたことと重なって
その言葉を何度も反芻してしまう
普段は一緒に寝ない長女、カエルのように手足を伸ばして寝る次女、散々わめいてようやく寝入った三女
そして、その様子を見て、わたしの寝るところないじゃん!と布団の上で文句を言う母
けれど、小さな子どもの無防備な寝顔を見ていると、愛しさと
どこかセンチメンタルな気持ちが込み上げてくる
いつか見れなくなる寝顔を見ていたら
ひとつの勘違いに気づいた

夫がネパールとインドへ行っているあいだ
寂しいとも思わない
むしろ、久しぶりのこの距離がいい
気楽で、自分のペースで過ごせることがただ嬉しい
わたしは、ひとりでいるのが好きなんだ
と、思っていたけれど、それは少し違っていた
さびしくないのも、ひとりでこの場所で過ごせるのも
子どもたちに囲まれて、喜怒哀楽いっぱいで満たしてくれるから
そして、同じ敷地に住む祖父母、スタッフ、お店のお客さんたち
こんなに多くのひとと関わり、支えてもらっているからなのだと
せいかつのまんなかに、ただあるもの
見えないそのまんなかは、わずかで、儚くて、流れてゆく
そこに感謝しないで生きないでどうするのだと、勘違いするなと
自分に言い聞かせた夜でもありました
「安心して、ひとりぼっちでいられる」というのは
どこかで、誰かとつながっているということなのかもしれない
古本屋では、本を通して店主とつながる
その他愛もない小さなやりとりが
きっと安心をつくっている

そして、蔵書を手放す店主が言っていた
「本を買ってくれる人たちが、それぞれの本棚をつくってくれることで
自分の本棚も、無限に広がっていく気がするんです」
その感覚が、とてもよくわかる
この2年半、店に立つ時間が増えて
遠くから足を運んでくれる人、ふと立ち寄ってくれる人、何度も顔を見せに来てくれる人
少しずつ、少しずつ、流れるように重なり
わたしたちが選んだこの場所やものを通して
大切にしていることや、好きなことが植物の種のように
思いもよらぬところで、そっとひらいているように思えるから
と、読書感想文みたいになってしまいましたが 笑
安心して、ひとりぼっちでいられる、この環境に感謝しながら
此処に訪れるひとがそんなふうに感じられるような場所でありたいとあらためて思うのでした
とても面白い漫画。読みたいひと、メッセージお待ちしてます〜
それでは、ゴールデンウィークもみなさんにお会いできますように
今週も佳き日々を◯

