うつしき

うつしき

学びの場 第九回目 [ 藤原 奈緒 ]

「奈緒さんは叶恭子みたいな人やで」

 

いわゆる視える方にそう言われたことがあります。

 

店をはじめて4年ほど

わたしはいつも仕事を抱えすぎてヘトヘト、大きな仕事を終えるたびに

もう何も生み出せないのではないか、と極度の不安を抱えながら生きていました。

 

「え?恭子???美香さんじゃなくて?」とわたしは聞きました。

だってその頃までのわたしのセルフイメージはおしんちゃん でしたから。

(注、橋田壽賀子さんの手掛けられた元祖朝ドラの主人公。とにかく厳しい状況を我慢強く耐えます)

自分は何も持っていないのだから人より何倍も頑張らないといけない、と思い込んでいました。

 

「お姉さんのほうや。美香さんをたくさん作ったらええで。」

そう笑って彼女は言い、わたしは3つのことを言い渡されました。

休んで、遊ぶこと

異性とたくさんデートすること

それから、自分にじゃんじゃんお金を使うこと。

 

もう、全然、信じられない。のだけれども、

わたしの信頼する友人が彼女を心から信頼していたこと、

それから、単純に面白いな、と思って言われたとおりに実行しました。

 

やればやるほど、運、のようなものが開けていくのがわかりました。

今までからだを縮めて狭い道をむりやり通っていたのが、道がぐんと広がるような感覚です。

視界が広がるから、何が起こるか事前にわかってうまくいかないことがどんどん減っていく。

あ、わたしこっちの人なんだ。

 

もちろん、トライアンドエラーもいっぱいあって、ここには書けないこともたくさんありました。笑

でも、わたしは暮らしの中で自分を喜ばせることがすっかり板について、全く罪悪感を感じなくなりました。

 

そのうち、だんだん、自然な流れで最適なことが起こっていく。

良いことも、一見悪いことも自分に起こることに抵抗しなくなりました。

仕事は好きなので今でもちょいちょい、働きすぎてしまうけれど

自分で気持ちを変えることができるから、大丈夫。

そう、大丈夫な世界がそこにはあったのです。

もっとみんな自分を喜ばせたらいい。そう思います。

 

先行きの見えない時代をわたしたちは生きていて

すぐ不安に飲み込まれてしまう。

でも、不安は自分を良くするわけではないし。

いつかのわたしのように意外と自分のことってわからないものです。

 

はい、深呼吸。

お腹がすいたところで、何が食べたいかを真剣に考えて手を動かして

ごく簡単なものをただ丁寧に作ってみる。

 

汗をかいて、食べ終えて整った自分が、次の自分を今よりいい場所に連れていってくれる。

その繰り返しで気がついたらきっと目に見える世界は変わる。

自分の生産性を上げるのは意外と簡単です。

 

もちろん、上げたくなかったら

上げなくていいし、下がったっていいのですよ。

 

だけど

わたしたちは自分で、自分を良くできる。誰にもそんな力がある。

料理を通して、それを感じていただけたら

わたしはとても、嬉しいのです。

元気のないときに作るおまじないのようなお料理。

わたしにとってはお味噌汁。

みなさんにはなんでしょうか?

 

よりよく生きるために

わたしたちは学び、そして、料理をするのだと思います。

それぞれの日常を深めて、

また学びの場でお会いしましょう。

 

 

Cooking heals yourself. 料理は、あなたのお守りになる


○あなたのための料理教室
日程:2023年7月28日(金)


○自分の手で自分を幸せにする 料理とお話の会 
日程:2023年7月29日(土)
藤原奈緒
料理家、エッセイスト。 “料理は自分の手で自分を幸せにできるツール”という考えのもと、商品開発やディレクション、レシピ提案、教室などを手がける。家庭のごはんをおいしく、手軽にするびん詰め調味料のブランド「あたらしい日常料理 ふじわら」主宰。
https://nichijyoryori.com/
https://www.instagram.com/nichijyoryori_fujiwara/