小野友寛 展 「残影」昨日終わりを迎えました。
足を運んで下さった皆さん有難うございました!
紙の元を辿ると植物からつくられた繊維の集まりだったことに気づく、小野さんの紙を使った様々な表現がひろがった九日間。
作品を前にすると視野を大きなところから、いつの間にか小さな粒まで探そうと焦点を絞っていて、細部のどこまででも追いたくなり、触れて質感を確かめたくなる。
照らされると光を受け止めるものと手放すものとが混在して、余韻のように残影が浮かぶ。
小野さんのバランスで幾様にも集められて構成された紙の作品にはそんな性質が含まれています。
合わせて開催されたTANEのお食事会では、私たちも南インド料理をコースで振舞ってもらいました。
TANEの料理が美味しいのは前提として持っていましたが、皆でわいわい取り分ける愉しみとはまた違う体験。
コース仕立てで自分の為の一皿をひとつひとつ拵えてもらうと、一心にそこに集中して注意深くマインドフルネスの状態で
どこまでも深くこの世界に居たくなる感覚。
前菜では小野さんの紙の器に色とりどりの料理が盛られ、背景としての調和に心震えました。
展示最終日はやむを得ず法要でお休みをいただきました。
親戚一同お寺を営んでおり、式事は十人近い身内の僧侶で執り行うことが多く知った顔がそれぞれの役割を淡々と遂行します。
皆それぞれの法衣を纏い、取り仕切る老師様は都度儀式に応じた素材、色等相応しいものを纏います。
何十年も大切に持っており、思い入れのあるものを弟子や師匠の式で選んだり次へと継ぐことも。
禅宗独特の素朴で直尚な所作に沿って動く衣、整え、礼をする。
皆が順繰りに歩を進めると舞台上でとりどりに映る衣の裾が美しくて、子どもの頃から悲しい時も嬉しい時も厳かな儀式の中でそんな景色が共に在ったことを思い出しました。
最近の新たな試みとして “うつしきの装い゛という衣に纏わる記事を担当しています。
今まで当たり前のように身に着けていたけれど、私なりの視点で探っていけたらと思います。
肌の一番近くに寄り添い、自身を表わすものにも成り得る存在。
うつしきで縁のある作り手から生み出された作品同士との併せも愉しんでいただけますように。
はじめた経緯等も綴っていますので寒い日のお茶のお共に、一話目からぜひ目を通してくださいね。
小野友寛さんの作品は引き続き常設でご覧いただけます。
他には代え難い存在感ある作品、肌で確かめにきてくださいね。
小西 紗生