うつしき

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一流の取材とは

いよいよ今週7月23日(木)に控えた陶芸家 清水志郎さんの展示会。今回の展示期間中もオンラインを盛り上げるため、「対話」を担当している義明と撮影取材に清水さんが工房を構える滋賀県へ訪れました。車移動も前回の東京出張の経験からか、長時間運転への忍耐力は確実についてきたように感じます。

 

撮影初日、大雨が降り続く中、清水さんと合流。30分程度でご挨拶と撮影取材に関する打ち合わせを終わらせ、取材を始めていきました。
取材の内容については、うつしきサイト内の「対話」「映像」にて配信されていますので、ぜひそちらをご覧ください。

 
対 話 - 清水 志郎 –

 

チームうつしきとして展示会を行う作家さんを訪ねる取材も今回で4度目。
毎回、形にはなっているものの、数を重ねていく中で、課題は常に見えてきます。

 

取材対象者の中には、話をすることが得意な人もいれば、苦手な人ももちろんいる中で、台本を作ったり、演出をとりいれることで効率的に撮影を進められることもあるのかもしれません。ただ、そこから生まれる言葉に嘘はなかったとしても、その言葉にだれが感動するのだろうか。

 

うつしきで作る映像に台本は何一つとしてありません。まず第一に取材時のライブ感を大事にしているからであり、そのため、私自身、撮影が終わり、
編集を始めていくまでどのような映像に仕上がるのかも分からないまま、制作を進めています。
この制作のやり方が正しいのかどうかは置いておいて、その状況の中でも制作を進めることができているのは、
前提としてうつしきと関わる作家さんの「言葉」と「行動」に一切の矛盾がないからだと思っています。

だからこそ、作家さんの口から自然と生まれた言葉を紡いでいけば、映像としての柱、
全体の構成が自然と出来上がるし、その言葉に作家さんの行動(イメージカット)を重ねていけば映像が成立します。
そういった予め意図したものではないものが偶然性の中から生まれたとき、編集している自分自身、感動する瞬間が多々あります。
その瞬間を探すような感覚でいつも手を動かすようにしています。

今回の取材中、
「言葉にすると、嘘っぽく聞こえるんやな、言葉って難しいな」
と清水さん自身よく口されていたのが印象的でしたが、自分には嘘には全く聞こえませんでした。
むしろその言葉の中に、陶芸と真剣に向き合う姿勢を感じたし、取材を通して清水さんの陶芸に向き合う姿を見ていく中で、
発する言葉は自分にとっては腑に落ちることばかりでした。
どんな人の言葉なのかが分からなければ、言葉に力は宿らない。
言葉に力を宿すために映像という一つの手法があるのだと今回の取材で改めて実感しました。

取材をしていくなかで自分への課題は尽きません。
カメラを回すと話ずらくなるのはたしか。
だとしたらカメラを持って構える自分の存在をいかに消した状態で取材に臨むにはどうしたらよいか。
いかに相手が自然体で話ができる環境をどのようにしたら作れるか。
コミュニケーション、タイミング、立ち振る舞い。
撮影時に考えないといけないことはたくさんあります。
相手から無理に言葉を引き出そうとしてしまうことが相手に伝わってしまい取材のテンポは悪くしたり、カメラを意識させてしまって緊張させてしまうことは今でもまだまだよくあります。

逆に言えばその部分をよくしていくことが、自分の可能性だと捉え、一流の取材とは何かを常に問い続け精進していきたいと思います。

 

陶芸家 清水 志郎さんの二本目の動画の編集やオンライン販売用の写真撮影も絶賛進行中です。
楽しみにされていてくださいね。

 
展示会情報
清水 志郎 陶展
2020.7.23 – 8/2
期間中28日 (火) のみ店休日
13時 – 18時