和歌山県紀美野町の、山の上。
笑達さん・有紗さん夫婦は、2017年より少しずつ土地を拓き、永住の地として ”いろどり山” と名付けた山で生活しています。
山の上に暮らし始め、2人が感じる変化について伺いました。
以前暮らしていた京都市の頃は、家で過ごす時間は少なく、全国各地を飛び回り似顔絵に取り組んでいた笑達さん。
「京都に暮らしていたときは、ここに一生住むという意識はありませんでした。この地を見つけ、死ぬまで住み続けたいという覚悟が決まった時に、やっと暮らしに根が張れ始めた気がします」。
畑を耕し、野菜やハーブを育て、アトリエの改修を自ら行い、いまはできる限りこの山で暮らす時間を増やしたいと話します。
自然に囲まれた山の上で、日没の時間まで絵と向き合う日々。
「絵を描いている時間そのものが楽しいです」と語るように、笑達さんの暮らしの中心には、絵を描くことが軸にあります。
いろどり山で暮らすようになり、人生の転機となる出来事が起こりました。
それは、似顔絵ではない絵を描くということ。
「いろどり山と名付けた山の上で生きる事を決めてから、幾度となく足を運び、過ごしてきた中で、いままで知らなかった山の美しさはもちろん、自然の怖さも体感しています。夜になると街灯もないので、家の茂みから聴いたことない獣や虫の声などを感じて、得体の知れない夜の怖さを感じる日もあります。それと同時に、草むらに小さく輝く蛍の美しさと満点な星空は、まるで宇宙にいるような光景に遭遇することも。
空は刻々と姿を変え、雨の色、土の匂い、木々の音、風々、目に見えないもの含め、様々な生命の営みの中に存在していて、僕らはこの地に住まわせてもらっている感覚。この山で触れ、見て、聞いて、感じたものと、有紗や友人の「似顔絵以外の絵も描いてみたら」という言葉が合わさり、描き始めました」。
「いろどり山に暮らし始めてから、精神的に何かがガラッと変わったことはないけれど、自分の中の大きな変化として、声を使った表現で音楽が生まれたことは予想していない出来事でした。」と話すのは有紗さん。
「この地に住んでいると、人工物が少なく、虫の数や植物の数も違うので、自然の力はよりダイレクトに感じています。いままでは手を使って、その素材と対話して形にしてたのですが、土地のエネルギーが強い分、物理的にはどこにも触れていなくても、身体中で触れて、感じたことを音として奏でることができるようになったのは、この地の影響が大きいと思います」。
うつしきにて、9月18日 (土)より開催される『笑達 川井有紗 夫婦展 “たまきはる”』。
夫婦として臨む4年半ぶりの展示。どのような気持ちで臨むのでしょうか。
「夫婦になって14年。お互いに影響しあっていまがあります。ふたりでお互いを育んできたと思う。お互いの半分は笑達であるし、有紗です。その中でいろどり山と出会い、作品が生まれています。
いろどり山で暮らしていると、様々な生命の営みが ”生まれて、生きて、繋げて、死ぬ” 。その繰り返しの中で只只存在しています。この地に宿る循環や自然の力、いま僕ら夫婦ができることをうつしきの空間にありのままさらけだして、命が湧き出る感覚が交わる展示にしたいと思っています」。
今回の対話を終えて9月18日の土曜日からうつしきの6周年企画として、笑達×川井有紗 作品展「たまきはる」が始まります。どんな景色がうつしきに広がるのか。どんな世界への入り口となるのか。いまから愉しみで、仕方ありません。周年企画として、笑達さんの似顔絵会、有紗さんの唄の会 、笑達さん有紗さんとの縁の深い『millet』のお食事会も喫茶室で予定しております。残席僅かとなった回もございますので、ご希望の方はお早めにうつしきまでどうぞお尋ねください。
[ インタビュー記事 -笑達- ]
[ インタビュー記事 -川井 有紗- ]
笑達×川井有紗 作品展
「たまきはる」
2021年9月18日(土) – 9月26日(日)
13:00-18:00
※期間中休みなし
作家在廊予定
18,19日 / 25,26日
期間中の催し
○笑達 似顔絵会
9月19日(日)、25日(土)要予約
13:00-14:00
14:30-15:30
16:00-17:00
17:30-18:00
○millet食事
9月25日(土)、26日(日)
要予約
○川井有紗 唄の会
9月26日(日)
開場 18時
開演 18時30分
金額 2000円
各催しのご予約は営業時間中に電話もしくはメールにてお受けしていますのでご気軽にご連絡ください。